本との向き合い方

こんにちは、やなべです。

 

この動画全盛の時代に、敢えて文章を書く意義とは。それを考えたら、何も思いつかなくて悲しい思いをしていました。私自身、動画を見るのが好きで、引き込まれるようなその魅力には、ある程度精通しているのですが、肝心の本については、何が優れているのかを説明できないでいました。そこで今回は、本との向き合い方について、学んでみたいと思います。

 

 

本の良さである余白

動画と本を比べたときに、圧倒的に違うのが情報の圧です。動画の良さは、効率的に情報を吸収できることですが、それが何故可能なのかというと、流れる映像と音声で脳に大容量の情報を流すことができるからです。動画を見たとき、脳は視覚と聴覚をフルに活用して、情報を吸収します。これに対して、本は読む速度を変えることで、情報の量を操作することができるため、思考を投入する余地があります。この非効率に見えるような、時間や感覚の余白が本の良さなのです。

 

読書のポートフォリオ

読書の意義を考えるときに、ポイントとなるのは問いと答えという概念です。何を目的に本を読むかで、次のように分類することができます。

  • 既知のリマインド
  • 答えの発見
  • 問いの発見

これらのうちのどれを想定して読書をするか、計画を立てることを読書のポートフォリオと呼びます。まずは、既知のことを思い出し、その必要性を再認識する既知のリマインドから始めます。これに慣れてきたら、答えの発見に進みます。自分がすでに問いとして認識していることに対する新たな見方の発見の段階です。その上で、自分を進化させるために必要なのは、問いの発見です。人間は当たり前だと思っていることに問いを立てることはできないので、それを読書で補完するのです。

 

問題を持ち続けるために

本を読み終わったときの理想の状態は、本の与えてくれた答えに熱狂し、概ね共感しているものの、残りの部分は違和感や疑問を感じて、懐疑的になっています。疑問が残っていると、読書後もその問いについて考え続けるという、本質的な読書につながるのです。そこに必要になるには、問いを解決せずに保留しておく能力です。その問いが次なる読書につながっていくのです。必要なのは、問いを育てる努力です。

 

----

 

読書を通して、問いと答えを見つけていく過程を学ぶことができました。今の時代は情報がすぐに手に入るので、問いはすぐに答えの状態になります。しかし、そのようにして得られた答えは、本当に実践的なのかというと疑問が残ります。自己啓発書によりその場は答えを得られたとしても、実践の段階でつまづくということがあるように、簡単に得られた答えは、ともすると役に立たないことがあると思います。

 

理解できるように教わることに慣れている私たちは、理解できないという状態を悪だと考える傾向にありますが、それは間違いで、理解できないというのは、未来の理解のための自分だけの問いになります。この経験を脳に沈殿させておくことで、ある時、読書をしていて、または生活の中で、何か解決の糸口になるような発見をする、という繰り返しにより、生きた答えというのは見つかるのです。