コンビニの裏側で苦しむ人たち
こんにちは、やなべです。
コンビニって便利ですよね。どこにでもあるし、24時間営業だし、いつも豊富な商品が揃っていて欠品しているところというのは、あまり見たことがありません。まるで生活の一部のようになっているコンビニですが、利用しているときにふと思ったのが、これだけの品揃えを維持するのには、裏にどのような努力があるのだろう、ということです。
そこで、今回はコンビニの経営をする人の実情を知るべく読書をしてみました。
コンビニは、コンビニ会社本部(セブンイレブンジャパンなど)と、コンビニ店舗のオーナー間のフランチャイズ契約により成り立っています。フランチャイズとは、事業者であるフランチャイザー(コンビニ本部)が、他の事業者(コンビニ店舗のオーナー)と契約を結び、商標、サービス、マーク、経営のノウハウのもと、商品の販売などの事業をする権利を与えることです。この見返りとして、コンビニ店舗のオーナーは、本部に対して一定の対価を払い、事業に必要な資金を投下していきます。
ここが対等で両者が繁栄するような関係であればいいのですが、コンビニ店舗のオーナーは対価(ロイヤリティー)を本部に支払うのみならず、本部の経営指導に従わないといけないという関係にあります。この指導に従わなければ、最悪の場合フランチャイズ契約を解除され、廃業となる可能性もあるわけです。したがって、両者の関係は、本部にかなり強い権限があるものであるということです。
そして、この対等でない立場のコンビニ店舗のオーナーは、まず、24時間営業による過重労働に苦しめられています。24時間営業は、フランチャイズ契約で予め定められておりオーナーはそれに従うしかないのですが、たとえばアルバイトを雇うための人件費はオーナーが負担することになっているため、実際には生活に十分な資金を稼ぐことのできていないオーナーがアルバイトを雇う余裕もなく、自らが深夜営業に出るしかないというのが実情のようです。
さらに、高額なロイヤリティーにも問題があります。セブンイレブンの場合、利益の金額にもよりますが、総利益の56%~76%にものぼります。また、廃棄商品の会計上の取り扱いについて、コンビニ会計という特殊なものを使用しており、それがオーナーを苦しめる状況になっています。ロイヤリティーを、粗利の60%としたとき、原価70円のおにぎりを10個仕入れて、そのうち8個を1個あたり100円で売り上げたとします。(2個は廃棄)
一般の会計
売上 100×8=800円
原価 70×10=700円
粗利 800-700=100円
ロイヤリティ 100×0.6=60円
店舗の利益 100-60=40円の黒字
コンビニ会計
売上 100×8=800円
原価 70×10-70×2=560円
ここで原価に廃棄分を含めないというのが、コンビニ会計の特殊なところです。
粗利 800-560=240円
ロイヤリティ 240×0.6=144円
店舗の利益 800-700-144=△44円の赤字
この会計は、つまり商品のロスをコンビニ店舗に負担させているということです。発注はオーナーの責任で行っているのだから、見込違いのロスはオーナー側が負担するべきという考え方です。では、オーナーが廃棄分が出ないように少なめに発注した場合はどうなるでしょうか。仕入れを6個に落としたとしましょう。
コンビニ会計
売上 100×6=600円
原価 70×6=420円
粗利 600―420=180円
ロイヤリティ 180×0.6=108円
店舗の利益 600―420―108=72円
となります。ここで、廃棄を減らしたため、オーナーの利益はプラスに転じましたが、ロイヤリティは下がってしまいました。つまり、本部としてはなるべくたくさん仕入れた方がロイヤリティがつき、廃棄が出るか出ないかというのはオーナー問題だということです。
ここで、コンビニ本部とオーナとの間で軋轢が生じます。本部としては、多く仕入れて少しでも多く売上を出しさえすれば、その分のロイヤリティも多く入ってきます。一方、オーナーはなるべく廃棄が出ないようにしないと、コンビニ会計により利益が出なくなってしまうのです。
しかし、対等でないフランチャイズ契約のもとでは、オーナーの主張はなかなか通りません。深夜営業によりオーナーは疲弊していたとしても、売上をすこしでも伸ばしさえすれば良いという本部側の利益のために、24時間営業を余儀なくされているのです。
このように、店舗のオーナーといえども、実際はフランチャイズ契約により縛られた一労働者としての働きになり、しかも人件費や廃棄分の責任はオーナー側に押し付けられているという構図になっています。
コンビニはたしかに便利ですが、そこまで便利であり続ける必要があるかといえば私は疑問だなあと思います。オーナーや従業員の大きな負担となりながらの深夜営業が絶対に必要かといえば、翌日まで買い物を我慢すればいいし、昼間の営業時間に買っておけばいいんですよね。
商品がいつも隙間なく陳列されて、いつでも営業している便利さの裏には、商品の大量廃棄があったり生活することができないくらいの経営状態になっているオーナーの苦労があることがわかりました。そこまで必要かというのは、問い直していかなければならないと思います。