表現するということ

こんにちは、やなべです。

 

私は文章を書くことが好きですが、文章で自己表現をしたいのかというと、何か違うなとも思います。これを音楽に置き換えて考えてみると、私はピアノを練習して発表することが好きですが、ピアノを通して自分を表現したいというよりは、曲の良さを誰かに伝えたいという気持ちが原動力になっています。同様に、ブログで小説や実用書を紹介する原動力は、書籍から得た知識や考え方に価値があると思うから、誰かに伝えたいという想いに由来しています。

 

なので、ブログの記事を書くときは、自分がどのような価値を見出したのか、という考えをまとめることを意識する必要があります。この作業がうまくいったときには、納得のいく記事が書けたなと思います。しかし、自分の考えを抽出するということは簡単ではなく、いつもパソコンの前で文章を書いては、これは違うなと思い消して、また書き直すという作業を繰り返しています。自分の考えを言葉に表すには、どのような過程を踏んでいけばいいのかを考えるために、この本を読んでみました。

 

 

自分の考えができるまで

何かを表現するときに、最も重要なのは自分の言葉を作るということです。自分の言葉を作るためには、自分の考えを自覚しそれを表現することが必要です。自分の考えというのは、次のような過程を踏んで形成されます。

  1. 好きだという気持ちから興味関心
  2. 問題関心
  3. 問題意識
  4. 自分のテーマ

最終目標は、自分のテーマを認識することです。自分のテーマが、これまでの経験と結びつくことでストーリーが生まれ、主張につながります。そのためにまず必要なのは自分が生きたいように生きているという、自由の感覚です。私たちは好きの元で自分の興味関心に即していますが、いくつかの興味関心がひとつの方向性にまとまると、問題関心になります。これまで漠然としていた好きということが、いくつかの問題に絞られて具体的な形となって現れるのです。さらになぜ自分はその問題に関心を向けるのかを考え始めたときに、問題関心は問題意識となります。こうして、問題意識を中心に日常に起こることを考え始めたときに、自分のテーマが生まれます。

 

なぜを繰り返すこと

上記の過程は、なぜを繰り返すことにより循環します。自分はなぜ興味関心を持ったのかに戻っていくのです。このことにより、自分の目指しているものが次第に明確になっていきます。このなぜを追求する行為を繰り返すことで、言いたいことが明確になっていくのです。この問答に自分でも納得したときに、オリジナリティが生まれ、他者を説得するものになります。つまり、表現することは、もやもやする自分の中から掴み取ったテーマについて、言葉を模索しながら言いたいことを主張として改めて見出し、共有するための言葉の論理によって、筋道立てて他者に伝えようとすることです。

 

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実は、冒頭の文章はこのなぜを突き詰めていった結果、得られたものです。私は文章を書くことが好きだけれども、なぜ好きなのか。自己表現できるからというよりは、価値を伝えられるからなのではないか。価値を伝えることになぜ意義を感じているのか。今までの経験としての音楽で、同じような意義を感じていた。もともと、価値を伝えることが好きだったのではないか。それがなぜ好きなのか。と問答しているうちに、自分の考えが生まれてくるのだと思います。

 

また、この本ではなぜの問答を他者と共有することが大切だと述べられていました。自分の中で完結するのではなく、他者からのフィードバックをもらうことで、自分の考えをより確実なものにしていくのだそうです。そう考えると、現状のブログだけでは他者と問答を共有することはできないので、他にも自分の考えを発信してフィードバックが得られるような仕組みを作れれば良いと感じています。